LPコピーで読者の心理ステップを昇る構成戦略:AISASモデル応用
LP(ランディングページ)は、訪問した読者を特定の行動(購入、問い合わせ、登録など)へと導くことを目的として設計されています。単に情報を羅列するだけでなく、読者の心理的な状態や関心に合わせて、適切なメッセージを適切なタイミングで提示することが、CVR(コンバージョン率)向上に不可欠です。
成果を出すLPコピーライティングにおいては、読者がLPを読み進める上でどのような心理ステップをたどるのかを理解し、その流れに沿って構成とコピーを設計する視点が極めて重要になります。
読者の心理ステップとは
読者が商品やサービスを知り、興味を持ち、最終的に行動を起こすまでの心理的な過程は、様々なモデルで説明されています。その中でも、Webにおける行動モデルとして広く認識されている「AISAS(Attention, Interest, Search, Action, Share)」は、LPのコピーライティング戦略を考える上で有効なフレームワークの一つです。LP単体でShare(共有)のステップまで完結させることは稀ですが、Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)のプロセスは、LP内の構成と読者の心理遷移を捉える上で参考になります。
LPにおける読者の心理ステップは、これをさらにLPの特性に合わせて具体的に考えることができます。一般的には以下のような段階をたどると考えられます。
- Attention(注意・認知): LPに到達した瞬間に、提供されている情報に気づき、立ち止まる段階です。
- Interest(関心・興味): LPの内容に対して、自分に関係があるかもしれない、面白そうだ、と感じる段階です。
- Desire/Comparison(欲求・比較検討): 提供される商品やサービスが自分の課題解決や願望実現に役立つと強く感じ、他の選択肢と比較検討する段階です。
- Action(行動): 比較検討を経て、購入や問い合わせなどの具体的な行動を決断し、実行する段階です。
- Confidence/Satisfaction(安心・満足): 行動を起こす前に最後の不安を解消したり、行動後に満足感を得たりする段階です(LP内では行動前の安心付与が重要です)。
これらのステップを意識し、LPの各セクションが読者を次のステップへとスムーズに誘導する役割を果たすようにコピーと構成を設計することが、成果につながるLP制作の鍵となります。
各心理ステップと効果的なコピーライティング・構成
LPの構成要素は、上記の心理ステップに沿って配置されることで、読者の理解と行動促進を促します。
1. Attention(注意・認知)の段階:立ち止まらせる導入部
読者がLPを訪れて最初に目にする部分、特にファーストビューがこの段階に当たります。ここで読者の注意を引き、読み進める動機付けを与えなければ、即座に離脱されてしまいます。
- 読者の状態: 漠然とした悩みや願望を持っている、または特定のキーワードで検索してLPに到達した。情報過多の中で、自分に関係のある情報かを見極めようとしている。
- LPの役割: 読者の課題や願望を明確に提示し、「これは自分のための情報かもしれない」と思わせる。
- コピーのポイント:
- ターゲットが抱えるであろう具体的な悩みや痛みに寄り添う言葉を使用する。
- 提供する価値や解決策の核心を端的に示す。
- 強力なヘッドコピーとボディコピーの導入部分で、読者の共感と関心を瞬時に惹きつける。
- (例:「〇〇に悩んでいませんか?」「理想の未来を手に入れる方法」など、読者の現状や未来に語りかけるフレーズ)
- 構成: ヘッドライン、リードコピー、権威性や信頼性を示す短い情報(必要に応じて)。視覚的な要素(画像、動画)も重要です。
2. Interest(関心・興味)の段階:もっと知りたいと思わせる展開
注意を引いた後、読者は「具体的にどういうこと?」「自分にとってどんなメリットがあるの?」という関心を持ち始めます。
- 読者の状態: 導入で示された情報に関心を持ち、「もう少し詳しく知りたい」と感じている。
- LPの役割: 読者の関心を維持・深化させ、提供するソリューションへの興味を高める。
- コピーのポイント:
- 読者の悩みや願望が、なぜ解決・実現できないのか、その原因を示唆する。
- 自社のソリューションが、その原因をどのように解決するのか、簡単な全体像を提示する。
- 製品・サービスの特徴だけでなく、それによって読者が得られる具体的なメリット(ベネフィット)を明確に伝える。
- (例:「その原因は〇〇にあるかもしれません。弊社の〇〇は、独自の技術で△△を実現し、お客様は□□というメリットを得られます。」)
- 構成: 問題提起、ソリューションの概要説明、主要なベネフィットの提示。
3. Desire/Comparison(欲求・比較検討)の段階:欲しい、選びたいと思わせる詳細
興味を持った読者は、さらに詳しい情報を求め、その情報が自分の課題解決に本当に有効か、他の選択肢と比較してどうか、という視点で評価を始めます。ここで具体的な証拠や詳細な説明が重要になります。
- 読者の状態: 提供されるソリューションに関心が高まり、「自分にとって最適か」「信頼できるか」を判断しようとしている。具体的な裏付けや詳細な機能・内容を知りたい。
- LPの役割: 読者の欲求を最大化し、他の選択肢よりも優れている、または自分に最も適していると感じさせる情報を提供する。
- コピーのポイント:
- ベネフィットをさらに掘り下げ、具体的な機能やサービス内容と結びつけて説明する。
- 数値データ、専門家の推薦、権威性のある受賞歴など、客観的な証拠(具体性・証拠)を提示する。
- 実際に利用した顧客の肯定的な声(お客様の声)を掲載し、社会的証明を示す。
- 競合との違いや優位性を明確にする(ただし、直接的な誹謗中傷は避ける)。
- 読者が抱きうる疑問や不安に対する先回りした回答(反論処理)を盛り込む。
- (例:「導入企業の〇〇%が成果を実感」「権威ある〇〇賞を受賞」「お客様の声:『△△が劇的に改善しました』」)
- 構成: 製品・サービスの詳細(機能、仕様)、具体的な導入事例、お客様の声、権威性・専門性の証明、競合優位性、FAQ(よくある質問)。
4. Action(行動)の段階:迷わず次の一歩を踏み出させるクロージング
欲求が高まり、比較検討を経て「これなら良さそうだ」と感じた読者に対し、最後の一押しをして具体的な行動を促します。
- 読者の状態: 行動を起こす準備はできているが、最後の迷いや不安、後回しにしてしまう気持ちが残っている可能性がある。
- LPの役割: 読者の行動へのハードルを下げ、今すぐ行動する強い動機付けを提供する。
- コピーのポイント:
- CTA(Call to Action)コピーを明確かつ魅力的に記述する。「購入する」「無料で試す」「資料請求する」など、読者が次に取るべき行動を具体的に示す。
- 行動することによって得られる最終的なベネフィットや、行動しないことによる損失(損失回避)を再度強調する。
- 限定性や希少性(「今だけ」「数量限定」など)を設けることで、緊急性や特別感を演出し、行動を後押しする。
- 魅力的なオファー(特別価格、特典、無料トライアルなど)を提示し、行動へのメリットを増大させる。
- (例:「今すぐ無料トライアルを始める」「〇〇%OFFは本日まで!」「限定特典を受け取る」)
- 構成: 強力なCTAボタン、限定性・希少性の表示、特典や保証の提示、行動しないリスクの示唆。
5. Confidence/Satisfaction(安心・満足)の段階:最後の不安を取り除く
行動を起こす直前、あるいは行動後の安心感を提供することも重要です。LPの文脈では、行動前の不安を取り除く要素がこの段階に該当します。
- 読者の状態: 行動を決断したが、「本当に大丈夫か?」「リスクはないか?」といった最後の不安を抱えている。
- LPの役割: 読者の不安を払拭し、安心して行動してもらうための情報を提供する。
- コピーのポイント:
- 保証や返金ポリシーについて明確に説明する。
- プライバシーポリシーやセキュリティ対策について言及し、個人情報提供の安全性を伝える。
- 購入・利用後のサポート体制やフォローについて説明する。
- (例:「〇〇日間の全額返金保証」「個人情報は厳重に管理します」「専門スタッフがサポートいたします」)
- 構成: 保証内容、セキュリティに関する表示、サポート体制の説明、運営者情報(特定商取引法に基づく表示など)。FAQセクションも、この段階の不安解消に寄与します。
読者の心理ステップに沿ったLP構成の考え方
これらの心理ステップは、必ずしもLPのセクション順序と完全に一致するわけではありませんが、一般的には読者が上から下へと読み進めることを想定し、Attention→Interest→Desire/Comparison→Action→Confidenceの流れを意識して構成を組み立てます。
例えば、一般的なLPの構成案は以下のようになります。
- ファーストビュー: Attention, Interest (ヘッドライン、リードコピー、キービジュアル、初回CTA)
- 共感・問題提起: Interest (読者の悩みや願望への共感)
- ソリューション提示: Interest, Desire (製品・サービスの概要、主要ベネフィット)
- 詳細・根拠: Desire (機能詳細、具体的なデータ、事例、お客様の声、権威性、反論処理)
- オファー・限定性: Action, Confidence (価格、特典、限定情報、保証)
- CTA: Action (行動ボタン)
- 安心材料: Confidence (FAQ、保証、運営元情報、特定商取引法)
この構成はあくまで一例であり、商材やターゲット、LPの種類(リード獲得LPか販売LPか)によって最適な流れは異なります。重要なのは、各セクションが読者の現在の心理状態を捉え、次のステップへ進むための「壁」を取り除き、「動機」を与える役割を果たすようにコピーを設計することです。
まとめ
LPで高い成果を継続的に出すためには、表面的なテクニックや心理トリガーの知識に加え、読者がLPを読み進める中での心理的なステップを深く理解することが不可欠です。AISASモデルなどを参考に、 Attention、Interest、Desire/Comparison、Action、Confidence という流れを意識し、それぞれの段階で読者に響くコピーと効果的な情報を配置することで、LP全体の説得力とコンバージョン率を高めることができます。
今回解説した心理ステップと構成戦略を参考に、LPライティングの品質向上に繋げていただければ幸いです。読者の心を捉え、成果を出すためのコピーライティング技術は、継続的な学習と実践によって磨かれていきます。