成果を分けるLPコピーの書き分け:リード獲得LPと販売LP
LPライティングで成果を追求する上で、最も基本的ながら見落とされがちな要素の一つに「LPの目的に合わせたコピーの書き分け」があります。一口にLPと言っても、その目的は様々です。主に「リード獲得(リスト収集)」を目的とするものと、「商品やサービスの直接販売」を目的とするものの二つに大別できます。これらの目的が異なれば、ターゲット読者の検討フェーズや求めている情報、そしてLP全体で伝えるべきメッセージも大きく変わってきます。
読者がLPに到達した時点での購買意欲や信頼度は、目的によって異なります。リード獲得LPでは、まだサービスや商品の詳細を知らない、あるいは検討段階の読者が多いでしょう。対して販売LPでは、既にニーズが明確で、解決策を探している、あるいは他と比較検討している読者を想定することが一般的です。この読者心理と状態の違いを理解せず、同じようなコピーを書いてしまうと、LP本来の目的達成は困難になります。
本記事では、リード獲得LPと販売LP、それぞれの目的に応じたコピーライティング戦略の違いを詳細に解説します。これらの違いを理解し、適切にコピーを書き分ける技術を習得することは、LPのCVRを最大化し、ライターとしての価値を高めることに直結します。
リード獲得LPの目的とコピー戦略
リード獲得LP(オプトインLP、リストビルディングLPとも呼ばれます)の主な目的は、読者のメールアドレスやLINE登録など、連絡先情報の提供と引き換えに、何らかの価値(無料レポート、セミナー動画、体験版、割引クーポンなど)を提供し、見込み客リストを獲得することにあります。
この段階の読者は、まだ商品やサービスの購入を深く検討しているわけではありません。彼らは自身の抱える悩みや課題に対して、解決のヒントや有用な情報を求めている状態です。したがって、リード獲得LPのコピーは、読者の「痛み」や「願望」に強くフォーキングし、提供する無料オファーがそれらを解決・実現する手助けになることを明確に伝える必要があります。
具体的なコピー戦略としては、以下の要素が重要になります。
- 問題提起と共感: 読者が現在抱えている悩みや不満、痛みを具体的に描写し、共感を得ることから始めます。「もしかして、あなたは〇〇で悩んでいませんか?」といった問いかけから入ることも効果的です。
- 未来の提示: 無料オファーを受け取ることで、読者の未来がどのように変わるのか、どのような明るい展望が開けるのかを具体的に描きます。ベネフィットの提示は重要ですが、販売LPほど直接的な「購入による利益」ではなく、「学び」「解決の糸口」「次のステップへの期待」といった点が中心となります。
- 手軽さ・低リスクの強調: 無料オファーを受け取ることの手軽さ、金銭的リスクがない点を強調します。「たった〇分で読めます」「費用は一切かかりません」といった表現は、読者の心理的なハードルを下げます。
- オファーの価値提示: 提供する無料オファーがなぜ価値があるのか、どのような情報が得られるのかを具体的に説明します。単に「無料レポート」とするのではなく、「〇〇に関する最新ノウハウが詰まった特別レポート」「累計〇〇名が効果を実感したメソッドを解説した動画」のように、提供価値を明確にします。
- 信頼性の担保: なぜあなたがその情報を提供できるのか、信頼できる人物・組織であるのかを示す要素を含めます。実績、専門家の推薦、メディア掲載歴などが有効ですが、販売LPほど網羅的である必要はありません。無料オファーに関連する最低限の信頼情報で十分です。
- 明確なステップとCTA: 無料オファーを受け取るためのステップを簡潔に示し、CTA(Call To Action)で次の行動を促します。「無料ダウンロードはこちら」「今すぐ登録して動画を見る」のように、何が得られるのかをCTAテキストに含めることで、クリック率を高めることができます。
リード獲得LPのコピーは、読者に「この情報(無料オファー)は自分にとって必要そうだ」「とりあえず受け取ってみよう」と感じさせ、個人情報を提供してもらうための説得に焦点を当てます。そのため、全体のトーンは教育的、啓蒙的、あるいは親しみやすいものとなる傾向があります。
販売LPの目的とコピー戦略
販売LPの主な目的は、訪問者に商品やサービスを直接購入してもらうことです。このLPに到達する読者は、既に何らかのニーズや課題を認識しており、その解決策として提示されている商品やサービスに興味を持っている、あるいは比較検討している段階にあると考えられます。
販売LPのコピーは、読者の購買意欲を決定的なものにし、購入に至るまでの心理的なハードルを徹底的に取り除くことに焦点を当てます。提供する商品やサービスが、読者の具体的な課題をどのように解決し、どのような望ましい結果をもたらすのかを、詳細かつ説得力を持って伝える必要があります。
具体的なコピー戦略としては、以下の要素が重要になります。
- 強力なベネフィットの提示: 商品やサービスの特徴(機能など)だけでなく、それによって読者が得られる具体的な利益や成果(時間短縮、コスト削減、売上向上、悩み解消など)を強調します。数値データや具体的な事例を用いて、ベネフィットの大きさを明確に示します。
- 差別化と独自の強み: 競合商品・サービスと比較して、自社の商品・サービスがなぜ優れているのか、独自の強みは何なのかを明確に伝えます。USP(Unique Selling Proposition)を際立たせるコピーが必要です。
- 信頼性・権威性・社会的証明の強化: 高額な商品やサービスであるほど、読者は信頼性を重視します。専門家による推薦、受賞歴、メディア露出、権威のある機関との提携、そして最も重要な社会的証明として、豊富なお客様の声、導入事例、利用実績数などを積極的に提示します。
- 具体的な証拠とデータ: 主張の根拠となるデータ、統計、研究結果、成功事例、利用前後の比較などを具体的に示します。抽象的な表現だけでなく、「〇〇%改善」「〇〇時間の短縮」「導入企業の〇〇%が効果を実感」のように、具体的な数値を用いることで説得力が増します。
- 限定性・希少性・緊急性: 「数量限定」「期間限定」「今だけの特典」などを示すことで、読者の「今すぐ行動しなければ損をするかもしれない」という心理を刺激し、購入を後押しします。ただし、過剰な煽り表現は信頼性を損なう可能性があるため、誠実な表現を心がける必要があります。
- 保証・返金ポリシー: 購入に対する読者の不安やリスクを軽減するため、保証や返金ポリシーを明確に示します。「満足いただけなければ全額返金」「〇日間の無料トライアル」などは、読者が安心して購入を検討できる材料となります。
- 価格提示と価値のバランス: 価格提示は重要な要素ですが、単に価格を示すだけでなく、その価格に対してどれだけの価値が得られるのか、投資対効果が高いことを伝えるコピーが必要です。分割払いや特典の追加など、価格に関するハードルを下げる工夫も有効です。
- 徹底的な反論処理: 読者が購入をためらうであろう懸念点や疑問点(価格、効果、安全性、自分に合っているかなど)を先回りしてLP内で解消します。FAQ形式で記述することも有効です。
- クロージングと強力なCTA: LPの終盤で、改めて購入を促し、なぜ今すぐ行動すべきなのかを強調します。CTAは「今すぐ購入する」「限定特典付きで購入する」のように、購入行動に直結する言葉を使用します。
販売LPのコピーは、読者の「欲しい」という気持ちを最大化し、「買う」という意思決定を促すための説得に焦点を当てます。全体的に、より断定的で力強い表現を用いる傾向がありますが、同時に信頼性を損なわないよう、誠実なトーンを保つことが重要です。
両者のコピー表現・トーンと構成の違い
リード獲得LPと販売LPでは、前述の戦略の違いから、コピーの表現やトーンにも明確な違いが現れます。
リード獲得LPは、読者がまだ関係性の浅い段階にあるため、比較的ソフトで教育的なトーンが適しています。専門用語の使用は控えめにするか、丁寧に解説を加えるなど、親しみやすさや分かりやすさを重視します。文章量も、無料オファーの価値を伝えるのに必要十分な量とし、読者が疲弊しないように配慮します。
一方、販売LPは、読者が既に一定の関心を持っていると仮定し、より詳細かつ具体的な情報を提供する必要があるため、文章量は多くなりがちです。専門的な内容にも踏み込み、権威性や信頼性を高めるために断定的な表現や具体的な数値データを多用します。ただし、高圧的になったり、不誠実な印象を与えたりしないよう、落ち着きと専門性のあるトーンを維持することが重要です。
構成に関しても、目的によって必要なセクションや配置の優先順位が異なります。
- リード獲得LP: 課題提起 → 無料オファーの提示とベネフィット → 信頼性(軽め)→ 無料オファーの詳細と受け取り方 → CTA
- 販売LP: 強力な問題提起・共感・未来の提示 → 商品/サービスのベネフィット詳細 → 独自の強み・差別化 → 信頼性・権威性・社会的証明(お客様の声、実績など)→ 具体的な証拠・データ → 商品/サービスの詳細(機能など)→ 限定性・希少性(任意)→ 価格提示と価値 → 保証・返金ポリシー → 反論処理(FAQなど)→ 再度の強力なベネフィット提示 → CTA
これは一般的な流れであり、LPの商材やターゲットによって最適な構成は異なりますが、リード獲得LPが比較的シンプルであるのに対し、販売LPは読者のあらゆる疑問や不安を解消するために、より多くの情報や説得要素を盛り込む傾向があります。
まとめ:目的に合わせた書き分けが成果の鍵
LPライティングにおいて、リード獲得と販売という目的の違いを理解し、それに合わせたコピー戦略を展開することは、CVR向上に不可欠です。読者の検討フェーズや心理状態を正確に捉え、彼らが求めている情報や安心感を提供するためのコピーを丁寧に構築することが求められます。
フリーランスWebライターとして、高単価かつ成果に直結するLP制作に携わるためには、単に美しい言葉を紡ぐだけでなく、このように目的から逆算して最適なメッセージと構成を設計する能力が重要になります。案件を受ける際には、そのLPの最終的な目的をクライアントと明確に共有し、目的に合致したコピーライティング戦略を提案できるよう、常に意識を高めていきましょう。
今回解説したリード獲得LPと販売LPの戦略の違いを参考に、自身のLPライティングスキルをさらに磨いていくことをお勧めします。